認知症になった祖母

舞台『黒い虫』
本日で稽古が終わりいよいよ明日劇場に入ります。

認知症になった男性が主人公の物語。
笑顔ばかりの作品ではありませんが、家族や周りの人の愛を感じる美しい物語です。

この作品を演じるために稽古で過ごした1ヶ月ちょっと、決して楽ではありませんでした。

僕には認知症になった祖母がいました。
茨城県に住んでいましたが祖父が亡くなった頃から認知症がはじまり、しばらく経ってから両親と僕の家に同居することになりました。

とにかく海外旅行が大好きで誰とでも友達になってしまう祖母。
どんなことでも笑顔とエネルギーで解決してしまう大好きな存在でした。

そんな祖母が少しずつ認知症が進んでいく姿を見ていること、一緒に過ごすこと。
駅のホームから線路に降りて歩いてしまい駅員さんから電話があったこと。
何もない夜空に花火が見えてしまい、ずっと花火を追いかける祖母に付き添ったこと。

”大好き”という気持ちの裏に少し芽生えてしまう辛さやイライラ。

忘れもしない、あの日。
祖母が求めていたある事をを無視しました。

その時の祖母の姿が今でも頭から離れられず、思い出すと心が締め付けられ「なんであんな事をしてしまったんだ」と後悔し、大声で叫び泣きたくなることがあります。

一度だけ人生をやり直せるとしたら、絶対にその時に戻る。
でも、あの時に戻ってやりなおすことはできない。

そんななか、『黒い虫』の稽古がはじまりました。

毎日そのことを思い出しました。
そしてその後悔と毎日向き合って芝居をしました。

ほとんど夢を見ない僕が見るようになり、寝たら朝まで起きない僕が必ず夜中に起きる。
稽古場で芝居に一歩を踏み出すことに毎回勇気が必要だった。
芝居が上手くいかないことばかりだったけれど、その時の後悔や祖母のことを考えたら落ち込むことも退くことなんて絶対にできない。

『黒い虫』と出会ったのは、なにか理由があるから。
何をしたってあの後悔は薄れることはないし、自分を許ることは絶対にできない。

でもこの作品を全力で挑み、多くの方にお届けすることが、役者として、人として絶対に必要なタイミングだったのだと思う。

表現しきれない多くの感情を抱えて舞台に立ちます。

そして多くの方々にその姿、作品を観てほしいと心から思います。

IN EASY MOTION vol.47

『黒い虫』

消えゆく記憶が増して行く認知症を患った父に
突如 封印していたはずの過去が鮮明に蘇る
デイサービスに訪れる介護福祉士には事故により若い頃の記憶がない
2人の人生が交差した時に見えたものとは・・・
認知症の父を支える家族の愛の物語

《脚本・演出》
伊藤和重

《スケジュール》
2022年11月2日(水)〜8日(火)

《劇場》
下北沢 小劇場B1

《チケット》
前売り5,000円
当日5,500円
高校生以下3,500円

《詳細・ご予約》
こちらのページへお進みください

215ステージ

舞台『黒い虫』 絶賛稽古中です。
ちょうど1ヶ月後が初日となります。

このくらいの時期の稽古だと「まだ1ヶ月あるから」という気持ちが出がちですが、今回はそんな空気がまったくなく毎回毎回必死にやっています。そういう気持ちで挑める素晴らしいメンバーだし、そのくらいの気持ちでないと乗り越えられない脚本です。

主演を務める冨家ノリマサさん。

2011年の『大奥〜第一章〜』がはじめての出会いです。

『大奥〜第一章〜』が3年間続き、冨家さんがプロデュースした『ZUN』でも直々にお声がけをいただきました。

そして劇団BLUESTAXIの『アメミット』で冨家さんが主演をする際も、そして今回の『黒い虫』も冨家さんからお誘いをいただきました。

215ステージ

それは、

『大奥〜第一章〜』→ 195ステージ

『ZUN』→ 12ステージ

『アメミット』→ 8ステージ

と、冨家さんと一緒に舞台に立った回数です。

.

多くの俳優の知り合いがいらっしゃるはずなのに僕にお声がけくださる。
「なぜ僕なんかを。」いつも思います。

でもそのお気持ちに応えたい。
稽古で上手くいかないこともあるけど、この気持ちがある限り絶対に下を向かない、向けない。

本当に、本当に素晴らしい作品になります。

期待していてください。

大奥〜第一章〜
ZUN
アメミット
黒い虫

『黒い虫』

《脚本・演出》 伊藤和重

《スケジュール》 2022年11月2日(水)〜8日(火)

《劇場》 下北沢 小劇場B1

《チケット》
前売り5,000円
当日5,500円
高校生以下3,500円

詳細・ご予約はこちら

祖父の命日の七夕は京都にて

七夕は祖父、阪東妻三郎の命日です。

車折神社に立ち寄り、これからのお仕事、そして太秦100周年に向けての祈願。

嵐電で嵐山へ向かい祖父が眠る二尊院へ。

祖父の命日や誕生日にお墓へ行くと必ず既にお花や供物があります。ファンの方か映画関係者の方なのでしょうか。今なおこうやって祖父のことを想っていただき本当に嬉しいです。

そして祖父や父たちが住み、その後、西岡善信さんが住みながらずっと守り続けていただいた家へお邪魔しました。

西岡さんは戦後の京都の映画制作現場を60年以上にわたって支え、日本アカデミー賞の最優秀美術賞を10回も受賞された美術監督です。

その西岡さんが、祖父が亡き後この家を守り続けてくださったからこそ、今こうやって田村家がお伺いすることが出来ています。感謝しかありません。

『大岡越前』でお世話になった山下智彦監督もわざわざお越しいただき思い出ばなしなどしながら本当に幸せな時間でした。

『上海郷愁舞曲』 終了!

無事に2日間の公演を終了することができました。

お越しいただいたみなさま、本当にありがとうございました!

1時間短期集中の濃密会話劇。
僕にとってはこれほどの会話劇ははじめて。
そのなかで演出家を入れずに役者と脚本家がとことん話し合ってつくりあげました。

そのぶん今自分に足りないことも気づけました。
また再チャレンジしたい作品です。
役も3人でローテーションしながら公演するのも面白いかなと。

ユニット名の”テンパズル”。
昔よく電車の切符や車のナンバープレートでやった、4桁の数字を一桁の数字4つとみなし、これに四則演算などを用いて10を作る遊びのこと。

脚本家1名と役者3名の4人が、足して、引いて、掛けて、割って、10のモノを生みだそう。そんな思いからつけました。

しかしそれだけでなく
夕貴まお さん
積田裕和 くん
櫻川ヒロ さん
のサポートやアドバイスを頂戴してよりグレードアップしたものになりました。

役者としての魂が熱い方々にサポートしてもらって、僕たちも必死でやらなくてはと背中を強く押されました。本当にありがとうございます!

今なお、舞台に皆様をお声がけすることがとても心苦しいまま稽古に挑み劇場に立っています。正直舞台に出演することもためらう日々を過ごしておりました。

今回の公演で素晴らしいメンバーに恵まれ、そして満員のお客様たちを目の前にして、改めて舞台に立つことの意義を感じられました。

「非日常を与える」という役割だった舞台。

しかし今は、「舞台を観るという日常をふたたび与える」という役割でもあると思います。

今回舞台に来てくださった方々も、作品の感想も勿論嬉しいですが、「生モノの舞台を観た楽しさ」だけでもSNSなどを通じて皆様にお伝えいただけたらとても嬉しいです。

そしてまた劇場でお会いするのを楽しみにしております。

取り急ぎ皆様に御礼まで。

富士山バックカントリースキー

2年後から本格始動する企画に携わることになって4年ぶりに富士山。

一歩進めば一歩ぶんだけ山頂へ近づく。
登山は誤魔化しも裏技もない。
その一歩を振り絞れば確実に前へ進む。
何も動かなければ一生辿り着けない。

この夏も富士山に登る予定なので良い下見にもなりました。
。夏はスキーやブーツを担がないで登れると思ったらそれだけでも気持ちが軽い!

今回はヘリチームとの連携など色々と勉強になりました。
素晴らしいメンバーと最高の時間。

舞台「上海郷愁舞曲」

狭い空間の中で行き交うセリフ。
やってみたい芝居に挑めることになりました。

テンパズル presents
『 上海郷愁舞曲 』

「この戯曲、本読みしてもらいたい」
脚本家・羽賀友美さんのそんな一言からはじまりました。

ここ2年で急接近した脚本家と3人の俳優によるユニット”テンパズル”。

小さな小屋で1時間ばかしの芝居。
本格的なセリフ劇でワクワクしています。

《 あらすじ 》

 一九三七年七月中国上海。

 日中の戦局が緊迫感を増す中、日本租界区でも日本人への反国反戦運動を厳しく取り締まるようになっていた。反戦活動や集会などは次々に特別高等警察の弾圧を受け、多くの日本人が捕まり牢獄へと送られゆく。

 その頃、反戦運動を行う日本人の間で『黒狼(ヘイラン)』と呼ばれる人物の存在が噂になっていた。

「もしも窮地に陥ったら『黒狼』を探せ」と。

 しかしそれが誰なのか、どこにいるのか、どうすれば会うことができるのか誰も知らない。それゆえ今の理不尽な状況を脱したい者たちが描いた架空の存在だとも言われていた。『黒狼』とは何なのか?本当に存在するのか?

 そして今日も一人。魔都の闇の中に、特高の目を搔い潜り租界区を抜け出す男の影があった・・・。

《 日程 》
2022年6月18日(土)・19日(日)両日とも13:00/16:00

《 劇場 》
早稲田クローバースタジオ

・東西線早稲田駅 徒歩5分
・大江戸線牛込柳町 徒歩10分

《 観劇料 》
3,000円

《 詳細・ご予約はこちら 》

※予約開始は5月15日 8:00~

『大岡越前6』

5月13日からスタートする『大岡越前6』第一回に出演致します。

演出は今回はじめましての黛りんたろうさん。学習院の先輩です!

NHK BSプレミアム
5月13日(金)20:00〜

再放送
5月15日(日)18:45〜

また近くなったら少しずつ京都での日々をアップしていきます。

舞子スノーリゾート

舞台『会津嶺の鐘』千穐楽を迎えてから経過観察の期間を終え感染者の報告がなかったので雪山に戻ってきました。

今回は飯士山と舞子スノーリゾート。

まずは飯士山バックカントリー。
程よいハイクにも関わらずロングランを楽しめる素晴らしいロケーション。そしてなにより新潟とは思えないほど雪が軽かった!行動食は『会津嶺の鐘』に登場した “粟まんじゅう” 。

そして舞子スノーリゾート。
林の中など滑走可能エリアが驚くほど広くて午後までずっとパウダーを滑ることができる。東京から2時間でこの環境はとんでもないです(笑)これはハマりますね。。。

最高の雪と最高の仲間で過ごした最高の1日でした。
今日、明日あたりも絶対に雪バフバフなんだろうな。

『会津嶺の鐘』の世界をもう一度

舞台は千穐楽が終わると、跡形もなくその世界は消えてしまいます。

この動画をご覧いただき、改めて皆様の心の中で生き続けることができたら幸いです。

そしてお越し頂けなかった方も、僕たちが生きた証をご覧いただけましたら幸いです。

filmed by Koji Tamura

『会津嶺の鐘』 千穐楽

『新撰組日記 会津嶺の鐘』千穐楽を迎えることが出来ました。


 ご覧いただいた皆様、応援してくださった皆様、ありがとうございました。そしてご一緒したスタッフ・キャストのみなさま、本当にありがとうございました。


 自分の出番が無いシーンで、袖で観ながら毎回涙した作品ははじめてかもしれません。「守るものがある」という尊さを心から感じられて人としても多くを学んだ作品でした。

 娘子隊、会津の人々、そして斉藤一。「会津を守る」という主軸となる感情を観てほしい人物が多かったので、土方はその人たちの感情が伝えられるよう、我を出さずに彼らの物語をしっかりと浮き出立たせるような立ち位置でいるよう心がけました。

 そのなかで、短直に「鬼の副長」を演じるのではなく「鬼の副長」になろうとした心を模索しながら演じる。その遠回りながらも一歩ずつ進んだ結果、『壬生のほたる』 『会津嶺の鐘 』と2作演じてやっと自分の中の土方が見えてきたような気がします。

 この心さえ持っていれば、一般的な土方へのイメージと多少離れた言動をしても「ああ、土方もこんな時あるんだろうな」と思われる。

 正解か不正解かは別として、ようやく羽賀先生の脚本に自分が溶け込む感覚がしました。

 そして役者としては「自信」を大切にしました。

 この「自信」というのは「自信がある」という意味ではなく、「今までやってきた自分を信じる」ということ。

 昨年『沙也可』で主演を演じ、その後役者仲間からある言葉を頂戴して気持ちを変化させて年末にあるドラマに参加。そこで自分では見てみぬフリしていたものをしっかりと直視できるようになりました。

 今まで必死で食らいついて頑張ってきたこと、でも打ちのめされて派手に失敗した経験は自分の中にある。

 年齢としては後輩が増えたこと、そしてキャストの中でも番手が上がってきたこと、その立場を与えられているのなら座組の中で多くを伝え、還元しなくてはいけないと思いました。

 当然今だって、自分は芝居が上手いとは全く思っていないし、全員を引っ張っていける存在ではないと思っています。

 でも自分の手の届く範囲のことばかりしても自分自身成長できない。思い切りジャンプしてギリギリ手が届きそうな事や役割にチャレンジすることが自分の成長にも繋がるし、僕が伝えた事の数パーセントでも後輩たちが何かを感じてくれたらそれで充分と思いこの1ヶ月半過ごし、自分自身もたくさん学ぶことができました。

 素晴らしい作品・スタッフ・メンバーに恵まれ、多くを授かり千穐楽を迎えることができました。


 歴史の積み重ねのお陰で今があり幸せに過ごし感謝しているけれど、『会津嶺の鐘』を演じていて、「もし娘子隊が、西郷家が、大勢の会津の人々が亡くならない歴史だったら」と考えずにはいられませんでした。


 史実を演じることの責任と意義を胸に、そして島田魁の日記が再び開かれるのを楽しみにして、今日からまた1日1日精進して参ります。

北京オリンピック開幕!

さすがチャン・イーモウ。品と質が素晴らしい。

最新テクノロジーに溺れず、本質を伝えるための手段にできている。

1988ソウルオリンピック
1992バルセロナオリンピック
1996アトランタオリンピック
1998長野オリンピック
を現地観戦し

2002ソルトレオリンピック
2021東京オリンピックは仕事で参加

今の僕にとって大きな経験となっている。アスリート・関係者に敬意を。

これから2週間が楽しみ!

会津の米

スキーのご縁で仲良くさせていただいている吉田暁央さんの知人で、会津でアルペンスキーを愛する女性の方が作った会津米の米袋で作ったバッグを頂戴しました。

米袋は頑丈でちょっとやそっとじゃ破れないし、ストラップなど色使いが可愛いのでガシガシ使わせてもらっています。

そしてこの米袋には知っておかなくてはいけない大切なことがあります。

バッグに貼られているシール。

これは各産地が自ら行っている放射性物質検査や玄米の全量全袋検査の結果を伝えるものです。

福島県では、東京電力福島第一原子力発電所の事故以来、農産物等の出荷制限や風評被害などの深刻な影響を受けていました。

このため、県が実施している緊急時環境放射線モニタリング検査の充実に加え、産地が主体となった米の 『全量全袋検査』 など綿密な放射性物質の検査を実施してきました。

そして直近5年間の検査では国が定める基準値超えの玄米がなかったことにより、ようやく一昨年から会津米にはこのシールが貼られる必要はなくなりました。

『全量全袋検査』

どれだけ手間と時間がかかる作業か。つい最近まで行なっていたこと自体知りませんでした。

このシールは会津・福島のみなさんが多くの苦労を乗り越えてきた証。

今回の『会津嶺の鐘』を通じて会津や福島のことを調べたりしましたが、ここは観光スポットなどそういうことだけではなく、長い歴史のなか多くの試練を乗り越え、その地域が生んだ文化や教え・物語が今でも残り、継承されたり語り継がれているとても尊い場所だなと感じました。

その会津で過ごした、過ごしてきた方々のその心が作品のなかで感じていただけるように。

初日まであと少し。最後まで考え抜きます。

『 新撰組日記 会津嶺の鐘 』

日程:2022年2月9日(水)〜14日(月)
場所:伝承ホール大和田(渋谷)
チケット: 指定席 7,000円 / 自由席(桟敷席) 5,000円

ご予約は下記URLよりお願い致します。
https://ticket.corich.jp/apply/115797/005/

『会津嶺の鐘』ホームページ
http://shinsengumi-nikki.com

『新撰組日記 会津嶺の鐘』 ついに叶った共演

『新撰組日記 会津嶺の鐘』

今回、作品において自分の役が担う重心ポイントがここ数年無かったものなので、その役割を楽しみながら進めております。

今回ようやく共演が叶った方。

村井麻友美さん。

僕の父の代表作のひとつである舞台作品、『嫁も姑も皆幽霊』。笑って泣ける喜劇であり10年以上のロングラン、再演される度に毎回必ず笑って泣かせられました。

その作品でずっと父の妻役を演じられていたのが音無美紀子さん。

音無さんと父との掛け合い芝居は本当に素晴らしくて、10年間続いていても毎回お互いが仕掛けながら作品が成長していく。本当に素敵な夫婦で本当に大好きな作品でした。

そして今回、その二人の娘と息子が初めて共演することになりました。

麻友美さんとは10年以上前に日舞の稽古場で一度ご挨拶したきりで、今回の『会津嶺の鐘』で再会。

今回は夫婦役ではありませんが話し合いながら良いシーンを作りあげていければと思っております。

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『 新撰組日記 会津嶺の鐘 』

日程:2022年2月9日(水)〜14日(月)

場所:伝承ホール大和田(渋谷)

チケット: 指定席 7,000円 / 自由席(桟敷席) 5,000円

ご予約はこちらよりお願い致します

『会津嶺の鐘』ホームページ

憧れのウェア

日本代表のスキーウェア。

一番最初の思い出は高校スキー部でのインターハイ予選でした。

スタートエリアにいると「このウェアをゴールエリアまで降ろしてくれない?」とお願いされた。”JAPAN”と背中に大きく描かれていた紫色のMIZUNOのウェア。今でも忘れやしない。

隣にいた友人が「これ、ナショチ(ナショナルチーム)のウェアだよ!!」と興奮しながら教えてくれた。

友人の興奮に感化され僕もテンションが上がり、そのJAPANのウェアを上と下に分けて友人と一緒にゴールエリアまで降ろした。

そしてゴールエリアでその選手を待ちながら僕はそのウェアの匂いをこっそり嗅いだ。それだけでなんか速くなれそうな気がした。

そのウェアの持ち主は、後に可愛がっていただいた森ユキさんだった。

それからナショナルチームのウェアはずっと僕の憧れだった。

今とは程遠い情報量のなか、スキー場やスキー雑誌でナショナルチームのウェアを見ると、「今シーズンはこんなウェアなのか!」とワクワクした。

大学スキー部の時は12月の前半は糠平で過ごした。

隣のレーンで滑っていたのは、ゴールドウインのトリコロールカラーでベストが付いているナショナルチームのウェアを着た3人だった。

白土晶一、井山敬介、田口和馬。
最強のミズノチームトリオ。

ヘアピン抜けた次の深回り。
あれだけ上から、そしてポールが可哀想と思えるくらいアイスバーンに思い切り叩きつけられるあのワンターンは今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。

ハンディカムで先輩の滑りを撮影しながらもこっそり彼らの滑りも撮って、そのワンターンを何回も見直した。

全身シルバーで背中にLOONEY TUNESウサギが描かれたゴールドウインのウェアに度肝を抜かされ、木村公宣さん・平沢岳さん・石岡拓也さんが揃って着用したグリーンとイエローのフェニックスのワンピースも無茶苦茶カッコよかったな。

大学を卒業して皆川賢太郎のエージェントとなり、一緒に行ったソルトレイクオリンピックは僕にとって一生の誇り。

そして40代になった今もナショナルチームのウェアへの憧れはずっと変わらない。

「ナショナルチームのウェアを着ている皆さんと滑ったり、ご一緒したりしているよ。そして君も着ることができたよ。」

高校時代の僕に教えてあげたらどうなるんだろう。
信じてもらえるかな。

そして、今の僕にも伝えてあげたい。

「スキーを続けてきてよかったね。」

みなさんの好きなナショナルチームのウェアはどれですか?

『 skier 2022 』

昨シーズン、ロッテアライリゾートで撮影したものが4ページの記事となっています。

“ゲレンデ” ではなく “山” を滑る。
日本のスキー場の大半はスキー場という”施設”の中で滑るような感覚になりやすいですが、ここは「大自然の山を滑る」というスキーの本来の醍醐味を楽しめるスケールの大きいスキー場です。

バックカントリーはちょっと気がひけるけれど、パウダーを滑ったり山の地形を楽しみながら滑ったりしたいなら是非ここへ

そしてホテルも素晴らしい。
家族で訪れて、午前中は滑って午後はホテルで上質な時間を。そんな楽しみ方もオススメです。

詳しくは誌面にて!!

本誌は色々なスキー場紹介だけでなく、マテリアルの紹介も充実。
シーズンイン前に絶対読むべき内容となっています。

そして記事とともに、映像コンテンツもyoutubeにアップ。
壮大なスキー場、そして子供も楽しめるエリアなどを紹介しております。

ski&boots: SALOMON
wear: PEAK PERFORMANCE
goggles: ANON
backpack: HAGLOFS
tools: MSR, THERMAREST, PLATYPUS
travel bags: Db

「そこに人間はいるのか」

上西雄大さんはいつもそう話す。
どんな可笑しいことをやっても、そこに人間がいれば成立する。

今回、稽古や劇場でキャストの皆さんを撮影させてもらった。
カメラのファインダーから見ると周りは遮られ顔だけ集中して見ることになる。
日を追うごとに、役者の顔が役の顔にドンドン変わっていくことが分かって本当に楽しかった。

『ヌーのコインロッカーは使用禁止』では沢山のとんでもない人物が登場する。
でもそこに人間がいるから納得できるし愛せる。

いよいよ千穐楽。

この素敵な顔を持つ皆と、最後の素晴らしい世界を過ごしてきます。

人生の交差点

飛行機の中から夜の街を見下ろすと、この光の数だけ人生があるんだなと思う。

僕たちはその中のほんのひとつまみの人の人生としか出会っていないしその人生だって10%も知らないはず。

舞台は観客も役者も自分の人生では出会わない人生と出会うことができる。

だから僕たち役者は台本から与えられた人生を人として全力で生き、そして観客の皆様にはじめて出会う人生を見て感じていただく。そしてこれから実際に出会う人の背景に想像力を持ち向き合う。

『多様性』という言葉を多用されるようになったけれどじゃあどうすればいい?その選択肢のひとつが観劇であるために僕たちは必死にもがきます。

「こんな人生なんてありえない。」
そんなことは言い切れない。
それが地球の素晴らしいところ。

小さな空間に沢山の人生が所狭しと駆け巡る『ヌーのコインロッカーは使用禁止』。

何かを感じていただけたら幸いです。

『当番弁護士 梶原藤子の事件ファイル~鬼子母神の女』

この夏に撮影したドラマ

小杉健治サスペンス『当番弁護士 梶原藤子の事件ファイル~鬼子母神の女』

が今夜放送します。

昨年の第1弾では松下由樹さんと『大奥〜第一章〜』以来の共演や高校の同級生と初共演など嬉しい再会が。

そして第2弾今回も素敵な出会いが沢山ありました。

真飛聖さん。

同じく宝塚OGの桜乃彩音さん繋がりで撮影の合間に色々お話して過ごしました。

こうやって第2弾として続くシリーズに参加できることは本当に光栄なこと。このまま続いて欲しいですね。

是非みなさまご覧頂けましたら幸いです。

そして舞台『ヌーのコインロッカーは使用禁止』も稽古が佳境を迎えております。

稽古が進むにつれて本当に楽しい作品として出来上がっております。

令和3年4月に発出された緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置は、9月30日をもって全都道府県で解除されました。

しかしコロナ前の世界に戻ったということではなく、これからこの状況のなかどうやって生活や心を豊かにしていくか。

そしてその心の豊かさを与える選択肢のひとつが舞台であり続けることを願います。

『ヌーのコインロッカーは使用禁止』はまさにその豊かさを感じていただける作品です。

無駄なことが出来なかった日々から、生活に非日常と笑顔と笑いと豊かさを添える。

そんなことを本気で思いながら稽古に励んでいます。
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『ヌーのコインロッカーは使用禁止』

作/演出 上西雄大

■ 日 程 ■
Tチーム、Fチームのダブルキャストです
(田村は両方出演します)

10/8(金)  18:00(F)
10/9(土)  13:00(T)/18:00(F)
10/10(日)  12:30(F)/17:30(T)
10/11(月)  13:00(T)/18:00(F)
10/12(火)  13:00(F)/18:00(T)
10/13(水)  13:00(T)/18:00(F)
10/14(木)  13:00(F)/18:00(T)
10/15(金)  13:00(T)/18:00(F)
10/17(日)  13:00(T)

※10/16(土)は、映画劇「コオロギからの手紙」の特別上映会 

田村は出演しておりません。

■ チケット料金 ■
(上西監督新作映画「西成ゴローの四億円」鑑賞券付き)
前売り   5,900円
当日精算 5,900円
当日・千秋楽 6,500円

10月16日
各回 前売り/当日 2,500円

■ 予約ページ ■
https://ticket.corich.jp/apply/114501/007/

■ 公演詳細 ■
https://gcp-lab.net/koji/

■ 劇場 ■
「劇」小劇場 (下北沢)

絶対に叶わない役者の願い。

絶対に叶わない役者の願い。

それは自分の出演している舞台を客席から観ること。
「この作品は客席から観たかった!」
そう思ったことが何度あったことか。

でもこれは観に来てくださったお客さまに代わりとなって楽しんでいただくしか他にない。

最高に楽しい時間を役者は味わうことができない。

でも、役者にしか味わえない最高の時間がある。

それは、稽古を重ねるに連れてひとつひとつのシーンが溶け合ってひとつの作品になっていく姿を見ること。

お客さまは出来上がった作品を観ることしかできないけれど、僕たちはそのずっとずっと手前の、まだ台本の活字でしか存在しないところから一緒に過ごす。

そこから、どんな顔のどんな性格の役者がどの役を演じることを知り、そして声を聞き、一緒に立って芝居をする。

お客さまが観る完成された作品とは全く正反対の方向に進んでいることもあれば台本には書いていなかったストーリーが生まれることもある。それこそカットとなりお客さまに観ていただくことが出来なくなったシーンも沢山ある。

個性の強い役者たちと、アクの強いシーン。
それぞれが歩み寄りながら、でも妥協せずとことん試行錯誤を繰り返し、ひとつになる。

その生まれつつある作品に、無数ある中から選ばれた音楽や照明というエネルギーが加わると一気に作品の世界に彩りが広がる。

最初はどうなるんだろうと不安になったりすることもあるけれど、初日にひとつの作品として完成する。

だから、皆さんにご覧頂く作品が生まれるってことは大袈裟でもなく本当に奇跡なんだと思うんです。

今回その奇跡を先導してくださるのが演出の上西雄大さん。

役者を活かし、役のキャラをバリバリに尖らせて、僕の想像を遥かに越えるくらいひとつひとつのシーンを思い切りとっ散らかす。

でもシーンとシーンを上西さんの接着剤で繋いでいくと奇跡が起こっているんです。

例えるならば、角ばった立方体のレゴブロックも無数に用意してそれを緻密に組み立てれば美しい球体ができる。そんな感じでしょうか。

沢山のブロックを作りあげて用意すること、そして細かく繊細に組み立てること、本当に大変だし難しい。

レゴ社が認めた「レゴ認定プロビルダー」だって世界に21人しかいなんです。

今、役者しか味わえないその奇跡を見る時間を思い切り楽しんでいます。

そしてその出来上がった奇跡を、是非皆さまにご覧いただきたいのです。

『ヌーのコインロッカーは使用禁止』

―ヌー、彼女は天使の様なコインロッカーベイビー―

切なくて愛おしい 心温まる 笑いと涙の人情ファンタジー

作/演出 上西雄大

■ 日 程 ■

Tチーム、Fチームのダブルキャストです

(田村は両方出演します)

10/8(金)    18:00(F)
10/9(土)    13:00(T)/18:00(F)
10/10(日)  12:30(F)/17:30(T)
10/11(月)  13:00(T)/18:00(F)
10/12(火)  13:00(F)/18:00(T)
10/13(水)  13:00(T)/18:00(F)
10/14(木)  13:00(F)/18:00(T)
10/15(金)  13:00(T)/18:00(F)
10/17(日)  13:00(T)

※10/16(土)は、映画劇「コオロギからの手紙」の特別上映会 
13:00(龍ver.)/17:00(虎ver.) 
田村は出演しておりません。

■ チケット料金 ■

(上西監督新作映画「西成ゴローの四億円」鑑賞券付き)

前売り       5,900円
当日精算        5,900円
当日・千秋楽   6,500円

10月16日
特別上映 映画劇『コオロギからの手紙』
※第46回公演 第5回東京公演 上演回

吉村ビソーライブ付き

各回 前売り/当日 2,500円

予約ページはこちら

公演詳細はこちら