絶対に叶わない役者の願い。
それは自分の出演している舞台を客席から観ること。
「この作品は客席から観たかった!」
そう思ったことが何度あったことか。
でもこれは観に来てくださったお客さまに代わりとなって楽しんでいただくしか他にない。
最高に楽しい時間を役者は味わうことができない。
でも、役者にしか味わえない最高の時間がある。
それは、稽古を重ねるに連れてひとつひとつのシーンが溶け合ってひとつの作品になっていく姿を見ること。
お客さまは出来上がった作品を観ることしかできないけれど、僕たちはそのずっとずっと手前の、まだ台本の活字でしか存在しないところから一緒に過ごす。
そこから、どんな顔のどんな性格の役者がどの役を演じることを知り、そして声を聞き、一緒に立って芝居をする。
お客さまが観る完成された作品とは全く正反対の方向に進んでいることもあれば台本には書いていなかったストーリーが生まれることもある。それこそカットとなりお客さまに観ていただくことが出来なくなったシーンも沢山ある。
個性の強い役者たちと、アクの強いシーン。
それぞれが歩み寄りながら、でも妥協せずとことん試行錯誤を繰り返し、ひとつになる。
その生まれつつある作品に、無数ある中から選ばれた音楽や照明というエネルギーが加わると一気に作品の世界に彩りが広がる。
最初はどうなるんだろうと不安になったりすることもあるけれど、初日にひとつの作品として完成する。
だから、皆さんにご覧頂く作品が生まれるってことは大袈裟でもなく本当に奇跡なんだと思うんです。
今回その奇跡を先導してくださるのが演出の上西雄大さん。
役者を活かし、役のキャラをバリバリに尖らせて、僕の想像を遥かに越えるくらいひとつひとつのシーンを思い切りとっ散らかす。
でもシーンとシーンを上西さんの接着剤で繋いでいくと奇跡が起こっているんです。
例えるならば、角ばった立方体のレゴブロックも無数に用意してそれを緻密に組み立てれば美しい球体ができる。そんな感じでしょうか。
沢山のブロックを作りあげて用意すること、そして細かく繊細に組み立てること、本当に大変だし難しい。
レゴ社が認めた「レゴ認定プロビルダー」だって世界に21人しかいなんです。
今、役者しか味わえないその奇跡を見る時間を思い切り楽しんでいます。
そしてその出来上がった奇跡を、是非皆さまにご覧いただきたいのです。
『ヌーのコインロッカーは使用禁止』
―ヌー、彼女は天使の様なコインロッカーベイビー―
切なくて愛おしい 心温まる 笑いと涙の人情ファンタジー
作/演出 上西雄大
■ 日 程 ■
Tチーム、Fチームのダブルキャストです
(田村は両方出演します)
10/8(金) 18:00(F)
10/9(土) 13:00(T)/18:00(F)
10/10(日) 12:30(F)/17:30(T)
10/11(月) 13:00(T)/18:00(F)
10/12(火) 13:00(F)/18:00(T)
10/13(水) 13:00(T)/18:00(F)
10/14(木) 13:00(F)/18:00(T)
10/15(金) 13:00(T)/18:00(F)
10/17(日) 13:00(T)
※10/16(土)は、映画劇「コオロギからの手紙」の特別上映会
13:00(龍ver.)/17:00(虎ver.)
田村は出演しておりません。
■ チケット料金 ■
(上西監督新作映画「西成ゴローの四億円」鑑賞券付き)
前売り 5,900円
当日精算 5,900円
当日・千秋楽 6,500円
10月16日
特別上映 映画劇『コオロギからの手紙』
※第46回公演 第5回東京公演 上演回
吉村ビソーライブ付き
各回 前売り/当日 2,500円