『会津嶺の鐘』
今年の稽古が昨日で終了しました。
コロナウィルスの対策として、キャスト・スタッフ全員が集まる顔合わせを中止。
作品をシーンごとにブロック分けをしてブロックごとに稽古。密を避けるためそのブロックに出演しないキャストは稽古場へ来ないようにする。
なのでまだ会ったことがない共演者がいたまま稽古が進んでいます。
通常は、最初に全員で本読みをして作品の全体の流れや空気を知ることで、各シーンの役割や登場人物の役割が見えてきて、それを「灯台」として僕たちは稽古に挑み試行錯誤して、そして共演者ととことん話し合って作品を作りあげていきます。
それができない今回、不安要素ばかりでした。
この3日間の稽古、僕は手伝い事があり3日間全稽古に居合わせました。
「ああ、まだこのブロックの人とあのブロックの人って顔合わせてないな」
と思いながらも、その両ブロックのキャストたちが、既に同じ空間を過ごして、同じ世界を生きて、旧知の仲のように見えてきた。
今まで感じたことがない感覚。
本当に不思議でしょうがなかった。
会えていないからこそ、より一層共演者のことを想像して想いを馳せながら自分の役を作り上げる。
今までに無い経験。
でもその状況が、今はとても良いように動いているように思える。
今回の座組は本当に素晴らしいと思う。
共演者のSNSを見ていると、稽古がはじまるずっと前から多くの出演者がその当時の歴史について、自分の役についてとことん調べていたり、実際に会津へ足を運んだりしていた。
こんなことってそうそう無い。
僕たちは、
私的ではなく、
馴れ合いではなく、
お酒でもなく、
ただただ『会津嶺の鐘』というひとつの世界だけで繋がっている。
それはまるで、登場人物全員が同じ会津嶺を見ているように。
それぞれがまだ会えぬ共演者を想いながら役を作り、そして稽古の後半、ついにキャスト全員が一堂に会したとき、どのような事が起こるんだろう。
初めて経験する空間や感情だと思うし本当にワクワクする。
絶対にこのキャスト・スタッフ全員で観客の皆さんに届けるんだ。