飛んでいく。

「仲間ってどういうこと?」
って聞かれたことがある。
そのとき僕は、
「例えば誰かが風邪で寝込んだとしたら、どこからでも飛んできてフルーツの1個でも持ってくることができる人達」
って答えた。

もちろん僕らの周りは30歳を越えて、仕事があったり家庭を持ったりで実際に飛んで来れなかったりする。
だけどそういう思いがある相手ならば、遠くにいても不思議とそいつを雰囲気ではなく感覚的に感じることができる。
その感覚が「絆」なのかなぁ、と思う事があった。

今回は、幸いにも実際にかけつける事ができた。
友人であり、以前は同じ目標を目指すパートナーだったアルペンスキー選手の皆川賢太郎。
彼は普段ならこの時期はヨーロッパで国際大会を転戦しているはずなのだが、来年に迫ったバンクーバーオリンピックで勝つ為にあえて帰国して国内大会に出場することにした。

その大会の前に、彼の実家がある苗場でプライベートトレーニングをすることになり「25日から手伝って欲しい」というメールが来たのが19日。タイミング悪く、僕の引っ越しが23日からで引っ越し業者が26日と27日にも来る予定。しかしどうしても行きたい。彼がどういう気持ちで日本に帰って来たかは本当に理解できる。プライド、他の出場選手に対する思い。
賢太郎は2度膝の大怪我に遭い、1度目の復活の兆しが見えたのがプライドを捨て国内大会に出場したときだった。
前回と今回は少し状況が違うけれど大きな決断をした。何ができるか分からないけれどどうしても彼のそばにいてサポートをしたかった。
母親に事情を話すと、気持ちよく「いってらっしゃい!」と笑顔で言ってくれた。
母親も心から賢太郎を応援するひとり。この引っ越しで一番大変なのは母親なのに嫌な顔をせず見送ってくれた。
感謝してもしきれない。ありがとう!
26日まで一生懸命引っ越し作業をして、その深夜に苗場に入った。

翌朝、部屋を出ると目の前で賢太郎がストレッチをしていた。年末以来かな?
久々に交わす握手。そして「来てくれてありがとう」という言葉。

今回のトレーニングを手伝いに来た吉岡大輔や桑本旅人とも再会。早速早朝からスキー場に向かう。
今回は苗場スキー場のご好意で、コースの一部を閉鎖して賢太郎の為にコンディションの良い状況を前日の夜から作ってくれました。

そしていよいよトレーニング。僕も一緒に滑らせてもらうことに。
どうやら人がたくさん滑って、滑って溝ができて滑りにくいコースのトレーニングをしたいとのこと。
ってなワケで滑らせてもらいました。
佐藤譲さん(元全日本チーム)や武田力(ジュニアオリンピック優勝)も駆けつけて一緒にトレーニング。
スキーに詳しい人なら分かると思うけれど、錚々たるメンバーなのですよ。

そんな中に僕(笑)

しかし、こんな素晴らしい環境とメンバーでトレーニングできるなんて恐らく最初で最後なので、思いっきりエンジョイしちゃいました。

コースの使用は午前中なので、昼には賢太郎の実家であるハイジに戻ってランチ。そして夕方はコンディショントレーニングでフットサル。夜はビデオミーティング。なんとまあ健康的で充実した一日。
この数週間はここ最近では無いくらい忙しかったので、自然に囲まれて僕自身も良いリフレッシュだった。

後半は週末でお客さんも多かったので部屋を移動して賢太郎と相部屋。
一緒の部屋で寝るなんて本当に久しぶり。やはり東京でゴハンを食べながらとでは話す内容が違う。
お互い肩の力が抜けて、馬鹿なことや心から感じていることが口から出てくる。
疲れが溜まってきて寝るのも早い。

3日間一緒に滑らせてもらったが、それぞれ雪の状況などが変わっていて賢太郎にとってバリエーションに富んだ良い練習ができたと思う。
そして僕は1日の夕方に東京へ戻った。
賢太郎やその仲間と別れるとき握手をした。
みんなの握手には気持ちがいっぱい詰まっていた

そして昨日、賢太郎のブログに第1戦で優勝したとの報告があった。
そのブログには賢太郎の心境が丁寧に書かれていた
読みながら涙が溢れた。賢太郎のブログを読んで泣くのは2回目。賢太郎は本当に強い。心から尊敬できる。

そして今日、大会結果のサイトを見たら優勝!目標どおり2連勝。
まだまだ大会は続くから気を緩めずに頑張って欲しいなぁ。
バンクーバーまであと1年を切った。
諦めない限り道は続く。
賢太郎が諦めない限り、僕も諦めずに応援を続ける。そしてどこへでも飛んでいく。

そう思える仲間がいる僕は幸せだなぁ、と感じました。

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